BEER,GOOD NEIGHBOR

BEER,GOOD NEIGHBOR

いつもの夏のように暑くて早く過ぎ去ってくれればいいと思うけれど、いざ過ぎ去ると名残惜しく感じてしまうのが夏というものである。思い出深いあの夏も、恋焦がれ青春を過ごした若かりしあの夏も、その瞬間を過ぎてしまえば取り返すことができずに、かすかな記憶の断片となる。
それぞれにいろんな夏を過ごしてきただろうけど、思い返してみれば暑さより思い出が勝るもの。そう、喉元すぎれば暑さも忘れるのだ。今のこの火傷するかのように照りつける日差しも貴方を輝かしく写すための光だと思えば、「光があるうちに輝け」だ。

まぁそんなこと言っても少し腹が立つくらいに熱い夏。どんなに辛く耐え難い日々でも、喉を潤し味方してくれるのはやはりビールだ。仕事に追われているあなたも、どっぷり夏休みという海に飛び込んでいるあなたも。恋人と夏本番を満喫している君たちも。かと思えば、本番前にフラれちゃった君も。みんないろんな事情を持っているけれど、どんな人にも寄り添い潤してくれるのがビールという存在。ビールという名のエールを送ろう。

お店に来てくれて、いの一番に「じゃあ、とりあえずビール飲もうかな。」と言って自分で作ったビールを飲む洋平くん。なんと贅沢な光景。

BEER,GOOD NEIGHBOR / Hobo Brewing × Landscape Products
Style / New West Coast IPA, Alc 6.5%
Label Drawing / Yann Kebbi

このビールの名前は、”BEER, Good Neighbor”。スタイルはNew West Coast IPA。
Newと冠しているのは、その時になかった手法や原料を用いているからだ。*West Coast IPAとは、ホップがメインになっていて、モルツが薄め。 主にカリフォルニアやオレゴンで作られている、どストレートな西海岸IPA。
このビールの説明は、作り手の洋平くんのインスタグラムを見るのがダイレクトだし、僕の余計な言葉はいらない。だから、洋平くんの最後の言葉をここに記しておこう。

「”飲みやすくて軽い”。僕も好んでいます。ただ最近みなさまここを、いの一番に求めてくるのでそれ一辺倒も、ね。決して反対の”飲みずらくて重い”液体をつくったわけじゃあない。」

と。この言葉を理解するにはまず飲んでみることだ。なにも考えることなく、ただこの液体を味わうこと。そうすればこの洋平くんの言葉がすぐにわかるだろう。

ホップの苦味、濃さをあらわすこの色。いつもの爽快感溢れる軽いのもいいけれど、それだけじゃビール好きとは言えないかもね。

それから、洋平くんがこのビールについて語ってくれた。

「とある日の夜中に久しぶりにこのウエストコーストスタイルのビールの元祖とも言える銘柄のやつを飲んだ時に、目が醒めるくらい強烈に苦くて、ああやっぱりいいなって思ったんだよね。」

と。それから試行錯誤を繰り返し、ランドスケープとしてのグッドネイバーを作った。

ラベルドローイングを担当したのは、Yann Kebbi氏。フランスを拠点に活躍するイラストレータだ。ダメもとでお願いしたそうだが、まさかのOKがでたと。上がってきたイラストは、皆が下を向いていてどこか暗い雰囲気をもっている。 ビールの液体をあらわすイメージとはまるで違うし、洋平くんはなんでこのデザインなのかがわからないって。だから会える機会があれば、聞いてみたいそうだ。

いつもビールを注文されると軽めか重めかなどのニュアンスを聞くけれど、今回は待ったなしで”BEER, GOOD NEIGHBORを。 軽めが好きという方は、「ちょっとまあ、そう畏まらずに飲んでみよ」と。苦味があってホップを感じれるのが好みだといういつもの君、「さあ、これからが夏本番だ」と待っている。

要するに、全てのビールを愛する方へ。
全てのグッドネイバーへ。届け。

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Written & Photographed by Katsushin Morimoto
Brewer / Hobo Brewing・Yohei Kawamura

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