種と旅と

種と旅と

マイクロきゅうり/lalalafarm

今回の”種と旅と”のコンセプトに「風土」とある。
「その土地の在来種や風土に根ざしたかけがえのないものに向き合う。」と。

このコンセプトに真っ直ぐ正面から答えるのであれば、僕たちcsewは神戸に位置しているので、神戸の土地に根付く在来種を探し発信しなければならないはずだ。
しかし、少し視点を変えてみようと思う。(僕は少し捻くれているので)
種と旅との本質や真髄は何だと個人的に考えて行き着いた結果、それは”風土”や”土地”という言葉を自らに置き換えるということだった。あらゆる種から生まれた命を日々食べることで僕たち人間は形成されているわけだし、人間が旅をするように種も旅をする。要するに、少し強引かもしれないが種も人も同様の意を指すのではないかと。
なのでここでは「風土や土地」=「自らの心、あるいは体」だと仮定する。だとすれば、”種と旅と”は今回の著者である僕の心(風土・土地)に根付く野菜たちに焦点を当て発信する機会となる。だから、捻くれた僕にとって”種と旅と”は自らの食に向き合うことなのだ。

少し話は変わるが、僕は昨年の夏から冬にかけて半年ほど北海道の洞爺という場所に住んでいた。(その理由などを話し始めるとさらに話が逸れそうなのでまた別の機会に。)
その半年の北海道滞在期間中にニセコに位置する「lalalafarm」という農家さんに出会う。lalalafarmは”発酵”をテーマに、大豆から味噌が、葡萄からワインができるように土から野菜を作るオーガニック農家だ。畑は羊蹄山(別名、蝦夷富士)の麓に位置していて、鉱物の性質も野菜に取り入れられる。鉱物の性質を取り入れるとはどういう事かというと、「野菜の生育は自然界を模することが必須であり、いかに土の中を、自然界の法則に沿って循環させるかが重要だ」そうlalalafarmのよっちゃんは語る。土の中で、植物・動物・鉱物・微生物などの要素をどう取り込むかだと。

この方たちに出会うことで僕は食に関心を寄せ、さらに農という営みに興味を抱いた。土に触れること、大地を感じることから得られるパワーはとてつもなく大きく、自らの手にエネルギーを沸き起こさせる。そのことを肌で感じさせてくれたのは僕にとってlalalafarmであり、北海道に”旅”をしている途中に僕の心に食というかけがえのない”種”を植えてくれた素晴らしい出会いだった。
そう、まさにこの出会いは”種と旅と”そのものなのだ。

”種と旅と”は「その土地に根ざす在来種を」というのが本来のコンセプトだがcsewでは「僕の心に根ざす」という意味での”在来種”に向き合おうと思う。なので、期間中はlalalafarmの野菜を販売するとともに、その野菜を使った料理のイベントを。(7/31)

ぜひこの機会に自らの心に食という種を植えよう。

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Written & Photographed by Katsushin Morimoto / Writer
lalalafarm / Farmer

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